〒659-0066 兵庫県芦屋市大桝町3-16 カサリナ7-201号室
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2016.10.2 「TRE(緊張・トラウマ解放エクササイズ)少人数ワークショップ」覚書です。
講師は 黒田俊之 先生(ヒプノセラピールーム ライトウインド/公認心理師・ヒプノセラピスト)と 筒井章子 先生(ヒプノセラピスト)。
TRE(緊張・トラウマ解放エクササイズ)は、マッサージセラピストであったディヴィッド・バーセリ氏が、トラウマを克服する方法として考案したエクササイズです。
このTREが画期的なのは、セルフケアが可能なところ。専門家の力を借りずに、自分で自分を癒していくことができます。
そして、トラウマ時の記憶を思い出す必要がないということ。むしろ、思い出させないように配慮しながら、トラウマを解放させていきます。
これまで、トラウマに対して行う心理療法のほとんどは、トラウマになった出来事を思い出す必要がありました。
繰り返し思い出し言語化することで、トラウマの原因となった出来事から距離を置き、その刺激に圧倒される必要はないということを学んでいきます。
WHO(世界保健機関)が “患者の負担が最も少ない治療法” として推進しているEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)という治療法でも、トラウマとなった状況を思い浮かべる必要はあります。
そもそも、本人の抱えきれるものしか記憶として上ってこないとも言われていて、思い出すということは、本当は悪いことではありません。
今なら処理できるよ、と自分の体が気づかせてくれているのですね。
それでも、大変な覚悟と労力が必要です。
TREは体の動きに注目するだけ。
体の反応(寒気、吐気、汗、涙など)
心の反応(寂しさ、イライラ感、笑いなど)
「今・ここ」を認識しながら行います。
トラウマは、恐怖時の体験を受け止めきれないために、処理できないまま感覚として体に溜めこまれている 印象 だと言われています。
事実と折り合いをつけられないまま、感覚として体に残っているのです。
トラウマの原因となった体験と同じような刺激を受けると、今まさにその出来事に出遭っているかのように反応してしまう。
だから、体に記憶されているものを解放していけば良い。
これ、実は哺乳動物に備わった自然な防衛反応が基となっています。
哺乳動物は危険を察知すると、即座に 「闘うか、逃げるか」 という態勢を作りだします。
この時、自律神経の交感神経が優位になり、体は身構えた状態に。
筋肉は緊張して縮こまっています。
その局面を乗り切ると、今度はその間に縮こまった筋肉を震わせて、緊張を取ります。
副交感神経を優位にして、体を休ませ、回復を促すのですね。
ディヴィッドは紛争地で爆撃の恐怖にさらされている人たちが皆一斉にビクッとして身をすくませる姿を見て、これって危険を感じたら出てくる本能的反応だな、と気がつきました。
子ども達も皆震えています。
けれども、大人は周りの目を気にして震えを抑えようとするため、結果として緊張を体に溜めこんでいるということもわかりました。
だから、これらの緊張をほぐすことで、トラウマが解放され癒されていくのではないかと彼はひらめいたのです。
具体的には、エクササイズで骨盤にある体の中心から自然な震えを誘発し、全身の震えにつなげていきます。
震えは全身に拡がりながら、その部分の深い緊張や溜めこまれた感覚をも解放していきます。
この時、記憶として意識に上らなくても、感情の発露が見られることがあります。
人によっては、泣いたり叫んだりすることも。
ああ、こういう感情が自分の中にあるのだなとそのまま受けとめ流していけばいい。
正しくやり方を覚えると、ゆっくりと確実に回復していくことができるのだとか。
TREはエクササイズなので、体調不良の人や体を自由に動かせない人にそのまま適用することはできません。
けれども、東日本大震災では被災地のお年寄りにも試みられたそうです。
体のしびれやこわばり、怪我の後遺症にも応用していけるとのこと。
その辺りのことをもっと知りたい。
多くの相談者さんの顔が浮かびます。
TREについて、もっと学びを深めていきたいと思いました。
私の場合、最初のうちはわずかに震えているだけでした。
しばらくその状態が続き、だんだん震えることにも慣れて気持ちが解放されてくると、体が縦に揺れたり横に揺れたり、不規則に動いたり、さまざまな動きを勝手に始めていきました。
それがだんだんおかしくなって、笑いが込み上げてきました。
お酒を飲んで楽しくなったような、そんなリラックス感です。
終わった後は、首や肩のこりが楽になって、スッキリ。
日々知らず知らずのうちに受けているストレスケアにも使えますね。