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2017.10
体を悪くして、見えてきたもの・・・体の自由は一旦奪われたけど、心の自由を手に入れたような気が。
見えるものが違う。
何か備蓄してたんやね。動かれへん時に、心の何かを。
私諦めてたからね、もう動かれへんと。
その時に感じることは本物で、どん底の本音の気持ち。
そういうところで色んなものを感じて受けたり、外に出したりしていたから・・・。
自分のことをコントロールできるようになった。
これは相手の軸やなとか、これは自分の軸やなとか。
昔は良いことも悪いことも背負いこんでいた。
精神科の薬も一切飲んでいないし、これから飲むこともないだろうなと思う。
○○(娘)もいて、△△(孫)もいて、そこにずっと村崎先生がいてくれて、いろんなことが必然と思える。
今、心の底から、生まれてきて良かったと思えている。
それは一番大きなこと。
村崎先生と長い間いろんなものを見てきて、私の中で正真正銘の卒業生になれる気がする。
3人で、無い知恵を振り絞ってやってみようと思う。
17年担当していたUさんが卒業されました。
元々、特定の関係に依存し合う共依存の問題を抱えていた人です。
家族や知人に対して、相手に必要とされるために過剰に献身してしまうところがありました。
他者の問題を代わりに引き受けては身動きが取れなくなっていくのです。
Uさんや家族には、次から次へと様々な問題が起こり、こんな不公平なことがあるのかと思うほど。
行政の力も借りながら、もつれた糸を一つずつ解き、
Uさんと両親
Uさんときょうだい
Uさんと友人
Uさんと子ども・・・
心理カウンセリングを通して、他者との間で少しずつ境界を作っていく作業を根気強く続けていきました。
けれども、子どもとの間で境界を引くことはとても難しいようでした。
子どもにも様々な問題が重なっていて傍目にも放っておけない状況にあり、子どもや孫の世話をUさんがほとんど背負いこんでいるような状態でした。
すると今度は、Uさんの体に痺れやこわばりが生じてきました。
日に日に自力で動けない範囲が拡がっていき、半年後には全介助が必要な車椅子生活に。
どこに行っても原因がわからず、「気の持ちよう」と言われたこともあります。
実際に体が動かないため、Uさんの生活支援と子どもの生活支援を早急に整える必要があるのですが、医師に「気の持ちよう」と言われてしまうと、行政の支援も限られてしまいます。
なかなか光の見えない日々が続いていました。
そんな生活が1年以上も続いた頃、当時のかかりつけの医師が神経の病気を見つけてくださったのです。
症状にぴったり合う薬が見つかり、そこからの回復ぶりには目を見張るほどでした。
自分で物を引き寄せたり持ち上げたりできるようになり
自力で這って移動したり段差によじ登ったりできるようになり
そのうち杖をついて歩けるようになり
痛みや痺れを残しながらも半年後にはほぼ元の生活に戻れるまでに回復されました。
驚くのは、その先です。
体が動かせない間にUさんの中に1つの軸ができ、子どもや孫との間で適切な距離を保てるようになっておられました。
Uさんは物理的に動けなくなったことで、周囲で起こっていることを見守るしかなくなった。
体が強制的にストップをかけたように私には感じられました。
Uさんは自分が動くことで心のもやもやを無かったことにして乗り越えてきたのに、それができなくなったために、もやもやしたまま抱えざるを得なくなったのです。
自力で動けなくなった期間に、Uさんの中にある器としての心の働きを自然に育ててくれていたと考えられます。
Uさんは最後に、「1回荒波に出てやってみようと思う」と言われた後で、「そう想像しているだけで、もう(荒波から)出ているかもしれんね」と語られました。
自分を傷つける、怖いところでしかなかった世界が、今はニュートラルなものとして、いや、むしろ安全・安心な場所として感じられているのです。
「もう、大丈夫」。
Uさんの気持ちが、私にも深く伝わってきました。
心や体の症状は基本的に本人を守るために出ています。
症状だけを見ると厄介なものもありますが、体にとっては必然なのですね。
抑うつは、疲れ切った心身がこれ以上刺激を受けないように体の働きを止めている反応。
癌は汚れた血液の浄化装置だとも。毒が全身に回らないように一か所に集めてくれているそうです。
様々な症状が出ることで、私たちは心身に何か負担をかけていると気付くことができます。
何か今、思い通りにいかない状態があるなら、体からの声に耳を傾けてみませんか?